PoCの概要
自動車用製品を製造する三桜工業様の部品製造工程において、AIを活用した気密検査のPoCを約1ヶ月間行い、気泡検知に成功しました。
会社名:三桜工業株式会社
1939年に設立され、1960年代より自動車部品の製造事業を開始した、自動車用製品を提供する東証プライム上場の製造メーカーです。同社は自動車市場の拡大に伴いグローバル企業として成長し、時代に即した製品およびサービスを提供することで、さらなる発展を目指しています。
検査内容:重要保安部品の気密検査
三桜工業様では、自動車用重要保安部品と呼ばれる、二重巻鋼管を使用したブレーキ配管、一重巻鋼管や樹脂チューブを使用した燃料用などの配管などを製造しています。これらの多くは人命に関わるため、厳格な品質管理が求められる重要保安部品です。
気密検査PoC実施の背景
従来の品質管理方法では、部品の欠損を確認するために、人が手作業で部品を水中に浸し、気泡の有無を目視で確認していました。今回のPoCでは、AIによって画像データを学習させ、気泡を検知する手法を採用しました。これにより、人の目視作業に比べて効率的かつ均一化された品質管理が実現しました。
気密検査PoCの手法
今回の気密検査は、様々な気泡のデータを機械学習させたモデルが気泡を判別し、検知するという仕組みで行われました。機械学習には数千〜数万枚ほどの画像データが必要であり、大量の画像データ収集が行われました。撮影パターンは照明の明るさ、レンズの絞り値、カメラを置く位置、気泡の発生位置などに応じて場合分けされ、様々な状況でのデータ収集を試みました。
元画像データの中央に見られる粒が気泡であり、検出データではその気泡に「bubble」というアラートマークがつきます。当初、気泡が線状に発生していることに注目し、線状になっている範囲をまとめて選択してラベリングをしましたが、それによって作成したモデルの精度は要件の水準を下回る結果となりました。そこで、気泡を個別にラベリングし機械学習を行うことで、高精度で気泡を検出することが可能となりました。
結果
このPoCは約1ヶ月間かけて実施され、その間に98%以上という高い精度での気泡検知に成功しました。また、その際に気泡以外のものを気泡であると誤検知することはありませんでした。
今後、検査工程への実導入にあたり、より多くのデータを撮影し、学習を進めることでさらに精度を向上させることができると考えています。
今後の展望
本PoCの機能要件を満たしたため、今後は試作・製品化段階に移行します。今回のPoCによって、検知結果の不整合は学習させる画像データに起因するものであり、物体検知というソリューション自体や学習モデルに問題がないことが明らかになりました。そのため、試作・製品化段階では、カメラで気泡を確実に捉えることが重要な課題となります。発生しうる最小サイズの気泡であっても撮影が可能であること、気泡がどの位置で発生しても撮影と検知が可能であることを満たす製品を開発してまいります。
※本事例は、株式会社コズムの製造業向け事業(2026年8月にロビットが統合・承継)で実施したものです。