PoCの概要
自動車関連製品を主に製造する三桜工業様の、自動車エンジンのパイプ外観検査における傷検知のPoCを実施しました。PoCの結果、従来の人による目視検査に代わり、AIを活用した傷の検知精度が大幅に向上し、高精度で傷を検出することができました。
外観検査PoCの手法
今回のPoCでは、エンジンパイプの外観検査にAIを導入しました。エリアスキャンカメラに対して、円柱状の物体に対して照明環境の影響を受けにくく、より精密な検査が可能なラインスキャンカメラを導入し、最適な検査方法を確立しました。
特に注力した点は、AIによる傷の検出アルゴリズムにおいて、従来の「良品のみを学習させたモデル」に加え、「不良品の傷を学習させたモデル」も統合した「ハイブリッドモデル」を採用したことです。
会社名:三桜工業株式会社
自動車関連製品を主に製造する企業です(本社:茨城県古河市、設立:1939年3月)。
外観検査PoC実施の背景
自動車エンジン部品における外観検査は、車両の安全性と品質保証において重要な役割を担っていますが、従来の検査は熟練の作業員による目視に依存していました。この方法は、作業員の経験や技術に大きく左右され、検査基準にばらつきが生じやすいという課題を抱えていました。また、製造ラインのスピードが上がる中で、より迅速かつ高精度な検査が求められるようになり、自動化のニーズが高まっていました。
三桜工業様は、この課題を解決するためにAI技術を活用した外観検査システムの導入を検討しました。これに対し、外観検査プロセスの標準化と精度の向上を目指して本PoCを実施しました。
PoCの結果
今回のPoCにより、傷検出の精度は非常に高い水準を達成しました。特に微細な傷や位置によって見逃されがちだった部分についても、AIによる安定した検出が可能となりました。
この成果は、良品・不良品の両方のデータをAIに学習させるハイブリッドモデルを採用したことで、傷のパターン認識能力が飛躍的に向上したことによるものです。これにより、製造ライン全体の検査品質が飛躍的に向上し、今後のさらなる自動化につながると考えています。
今後の展望
今回のPoCで得られた成果を基に、AIモデルの精度向上とともに実際の製造ラインにおけるサイクルタイムに対応した処理機構の開発が重要になります。製品の流れに合わせて、リアルタイムで外観検査を行うための効率的な機構を構築することが、さらなる品質向上のカギとなります。また、検査の正確性だけでなく、生産性を損なわないスピードで検査を行えるシステムの実現が求められています。
そのため、今後は製造現場での導入を見据え、現場のニーズに即した柔軟なカスタマイズを行い、AIモデルと検査機構の最適な組み合わせを追求していきます。特に、既存の製造ラインとの調和を考慮した設計により、検査の精度と効率をバランスよく向上させ、標準化と自動化のさらなる推進を目指します。
※本事例は、株式会社コズムの製造業向け事業(2026年8月にロビットが統合・承継)で実施したものです。